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大崎上島の人口減少阻止と再生

大崎上島の人口減少阻止と再生は可能か?

広島商船高等専門学校 村上 定瞭

1.はじめに

日本の人口が減ると、全国の地方自治体の維持が難しくなるとの長期推計が相次いでいる。元総務相で東大の増田寛也客員教授らは8日、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測をまとめた。国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしている。
広島県(以下、本県と略称)においても人口減少が進行し、郡部においてその傾向が著しい。「地方消滅」(増田寛也著編、2014)によると、2040年に消滅可能性が高い本県内自治体として安芸太田町、神石高原町及び大崎上島町を挙げている。
大崎上島町(以下、本町と略称)の人口減少を阻止することは、本当に不可能であろうか。大崎上島町(4島からなるが、1島は島全体が亜鉛精錬工場で離島振興対策の対象ではない)の産業分類別就業者数の特徴は、上記精錬工場の他に、造船業8社、海運業8社及び火力発電所があり、第2次産業就業者の割合が高い。蜜柑・レモン・ブルーベリーなど農業が盛んであるが、漁業就業者の割合は低い。第3次産業従業者の割合は全国離島全体のものと大差はないが、不動産業や飲食・宿泊業への低い就業者割合を電気事業への高い就業者割合が補っている。また、本町には高等教育機関「広島商船高等専門学校」(以下、商船高専と略称)があり、その構成員(学生・教職員等)は約1,000人で、本町昼間人口の10%を超えている。
本町は、国内山間・離島地域にはない特徴ある地域資源がある。この資源を活用すれば、本町の人口減少阻止は不可能ではないと考える。本町再生へ向けて、その方策を提言したい。
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2.大崎上島町の人口推移

本町の人口は、H10年には10,550人であったが、H26年には7,881人となり、この16年間で25%減少している。このままの状況で人口減少が進行すると15年後のH42年(2040年)には、4,000人以下になることが推定されている。
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3.大崎上島町の人口減少の背景

(1)自然増減

本町の過去20年間の自然動態(出生と死亡)による人口増減を見ると、出生数はH7年頃には60人前後であったが少しづつ減少しH26年には23人となっている。一方、死亡数は160人前後で減少し続けている。本町の人口減少は、この自然減が大きな原因となっている。

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(2)社会増減

本町の社会動態(人の転入と転出)による人口増減を見ると、毎年400人前後の転入及び転出があり、移動人口の割合が高い。この理由の一つには、本島には商船高専があり、毎年、遠隔地からの新入生が転入するとともに、卒業生が就職・進学のため転出することにある。さらに、本島内の事業所(学校、発電所、銀行、工場など)の定期異動に伴う転入・転出が挙げられる。島内で育った若者の多くは、高校卒業時に就職・進学のため島外へ転出している。一方で、U・Iターンによる転入もある。
本町の社会増減は、過去において減少傾向が続いていたが、H24年66人減、H25年1名増、H26年48増と急激な増加傾向にある。この現象は、国内山間・離島地域には見られない特異なものである。この理由として、高専における遠隔地学生の増加、発電所実験プラント建設に伴う転入増、島内高校生数減少による卒業時転出数の減少などが挙げられる。

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4.大崎上島町の地域資源

(1)東京へのアクセス

大崎上島の対岸に広島空港があり、東京圏へのアクセスに利便性が高い。
また、対岸には高速道路・山陽自動車道があり、世界遺産である宮島・嚴島神社や瀬戸内海・しまなみ海道へも1時間前後でアクセスできる。

(2)青く美しい海と空に囲まれた穏和な気候

大崎上島は瀬戸内海のほぼ中部部に位置し、回りを九州・四国・中国の各山脈に囲まれ、夏から秋にかけての強い台風や冬の冷たい大陸低気圧は弱められ、年間を通して穏和な気候である。青く美しい海と空に包まれた穏和な環境に大崎上島がある。

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九州・四国・中国の各山脈に囲まれ、青く美しい海・空と温和な気候
本島は、広島県南岸及び尾道市~呉市に連なる弓状の島群鎖に囲まれ、年間を通し穏やかな海域に存在している。一年を通してミカンの木の緑が見られ、冬には黄色の果実との対比がとてもすばらしい。夏には海水浴場は島外からの人々で賑わい、お盆には夜空を飾る花火の下で里帰りの家族同士が再会を喜び、秋には3つの大きな祭りが開催され地域の伝統文化を継承している。
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広島県南岸及び尾道市~呉市に連なる弓状の島群鎖に囲まれ、年間を通し穏やかな海域

(3)安心・安全な地域

本島は離島であり、若者の多くは商船高専の学生である。現在、社会問題化している都市部で見られる凶悪な事件もない安心・安全な地域である。

(4)高齢者への住民理解と多様な取組

高齢化率が45%であり、高齢者への住民の理解が深い。また、地区住民、自治体、社会福祉協議会、高専学生、NPOなどによる高齢者向けの取組や支援活動も活発に行われている。

(5)地域資源活用への課題

5.大崎上島町の人口減少阻止への方策

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