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集落支援事業への参加

人口動態就業構成に関する分野  大崎上島町集落支援事業への参加

長谷川 尚道(地域連携コーディネータ),上杉 鉛一,澤田 大吾(一般教科)
川本 亮之(大崎上島町役場),濱田 榮(総務課)

概要 大崎上島町沖浦・明石地区を中心とするいわゆる「南の里」において,昨年に引き続き学生による伝統行事に参加した。この「南の里」地域は高齢化が急速に加速し,そのため地域で行われている各種伝統行事や地区行事の継承が困難となっていた。一方,平成25年度の地域・集落ヒアリング調査でも地区で大切にしたいものの第1位は「地域で行われている伝統行事」(43%)であった。
地域住民のみならず,この現状に危機感を抱いて,町が同地区に設置した集落支援員を中心に地域内外の様々な人材の支援により地域全体を盛り上げようと試みた。
本校にもこの取り組みへの支援要請もあり,地域課題研究の一つとしてまた学生の体験重視の教育実践にマッチすると考えられることから,地域貢献の観点から昨年から参加を決定したところである。

キーワード 社会貢献/地域交流/体験型教育/伝統文化の継承/行事・イベント参加

1.はじめに

大崎上島町に古くから語り継がれ,脈々と引き継がれた各地域の伝統文化・伝統行事について,少子高齢化,過疎化等の社会的背景により,継承が危ぶまれている現状がある。
平成25年度集落支援員事業調査で「この地区の良いところ,大切にしたいもの(人材,場所,行事など)活かしたいことがあるか」との聞き取りに対し,伝統行事と答えた人が43%(前掲)となっており,地域の伝統行事に対する思いは強いことが伺える。そこで町は平成25年10月より,集落支援員制度を南の里(沖浦,明石地区)に導入し,集落の維持・活性化の支援の取り組みを開始し,伝統行事の継承を中核においた。この地区は,高齢化率が高い集落が多く,沖浦・明石地区全体の10年後の人口推計において,人口200人の減少,高齢化率68.4%となっており,7集落あるうち最も高いところで79.1%の高齢化率が予測される集落もある。(前傾:ヒアリング調査)こうした中で伝統行事も参加を辞退する集落も表れていた。
先に述べた集落支援員事業も,伝統文化の継承を行うことが,地域の活性化に結び付く重要な項目として位置付けて,事業を開始した。この地区は町の協力を得るとともに,本校の学生に伝統文化継承を担ってほしいということで,沖浦,明石地区を代表する2つの地域行事に参加要請があり,昨年度からCOC事業として学生が参加している。地域全体が活力を取り戻し,伝統文化を盛り上げていき継承したいと願う学生を中心に,明石地区は御串山八幡神社秋季大祭,沖浦地区は恵比須神社秋季大祭に参加し,地元住民と活発な交流等を行った。

2.事業内容

2-1 学生の役割

大学COC事業において,学校が地域と連携し,地域の活性化に貢献するためには,まず,学生・教職員含めて地域の実情を知るということが重要である点は昨年も述べた。
それには何よりも地域に溶け込み,学生・教職員が,地域の伝統行事に参加し体験することで,地域を知り,交流を通じて人を知るきっかけができる。地域住民にとっては学生の参加により祭りをやり遂げることで集落が活性化し,住民に誇りと自立性をもたらすことになる。
このことを検証するため,学生による地域住民への聞き取り調査を行い,優れた地域の文化を後世に語り継いでいくことを目指すこととする。
こうした学生・教職員の役割を発揮させる上で,地域に集落支援員の存在が大きな役割を果たしていることは特筆すべきである。とにもかくにも,学生が地域の伝統行事に参加することで,地域に若者の笑顔と元気を持ち込み,地域は活力を取り戻し,学生は体験を通じて地域を理解し,地域の人達と交じり合うことでコミュニケーション力を高め,課題解決力を身につけることができると考える。

2-2 内容(報告書抜粋)

(1) 「9月19日(土)12時より行われた明石地区の御串山神社の祭礼に本校の学生4名(1年1名,2年2名,4年1名)が参加しました。当日は快晴に恵まれ,夏を思わせる天気でした。学生達は11時に集合し,祭りで御輿を担ぐ若衆の衣装に着替えました。豆絞り,白いシャツと短パン,黒い手甲と脚絆,地下足袋,それに真っ白なさらしを腰に巻き,完成です。祭礼は12時より,神主さんによる御霊移し,巫女の舞(うらやすの舞),獅子舞の順で行われ,その後御輿の出発でした。神社が高台にあり,民家のある麓まで降ろすのさえ一苦労でした。御串山神社の御神輿は地区ごとの中心地で,休憩を取りながら練り歩きますが,その際,腰を落とし,御輿を膝の高さくらいにしたままで,左周り飛び跳ねながら御輿を回すもので,なかなか迫力のある御輿回しです。明石地区を一回りし,5時前に神社に御輿を奉納するまで学生達は元気に「よ~い,よ~い,よ~いやさ」とかけ声をかけながら,御輿を担いで,地域の人たちとも交流をしました。最後にお弁当と飲み物をいただいて,解散しました。祭り総代の方からは「大変助かりました。またお願いします。」と言われました。参加学生は「(御輿をあてていた)肩が痛くなりましたが,楽しかったです。来年も日程が合えば,参加したい。」との意見でした。また,巫女の舞は大変優美なもので,まだ見たことのない方も,ぜひ一度ご覧になると良いと思います。」

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(2)沖浦恵比須神社秋季大祭は平成27年10月11日に執り行われた。櫂伝馬の漕ぎ手として27名の学生・教職員が参加した。(報告は別掲)

3.成果

昨年と同様主催する各区の区長のほか,祭りの総代や,地元の区民の協力により円滑に行程を進めることができた。学生も笑顔で地域行事に参加でき,汗をかき,地元住民の温かい受入れもあって有意義な一日となった。
また,集落支援員(専任支援員1名,サポート支援員7名)や,職員とも連携し,事前に学生の参加形態等を確認し,活動がしやすい環境を整えたことで,今後の協力・支援活動も円滑に運べるものになった。
報告にもあるように地元住民からは,「来年もぜひ来てくれよ」「あんたらと一緒に(行事が)できてよかった」などの声を聞き,学生も地元とのコミュニケーションを通して,達成感を味わうことができたのではないかと思われる。

4.まとめ

学生の若い力が活躍できる場所は,島内に無数に存在するが,日程等の関係でなかなか参加のきっかけができない現状もある。また,伝統文化の継承を願う島民の声は,数多く存在する。
昨年からの取り組みで,学生が地域の行事に参加するきっかけを掴んだこの2地区(沖浦・明石地区)では,次年度以降も継続して学生等への参加の要望が強い。学生にとっても,地域とふれあい,行事に参加することの楽しさや,地元住民の優しさを知った。2回目の学生参加で集落が活気づいたことで他集落でも諸行事への学生参加の要望が寄せられるようになった。地域貢献を通じて,学生が島の魅力を発見し,島の風土,文化等を学習し,コミュニケーション力を高め,課題解決力を身につけることを最重点において,活躍することを大いに期待するものである。

(公開:平成28年4月)

 

 

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