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空き家Webマップの作成

大崎上島における空き家Webマップの作成

鈴木 理沙,岐美 宗,岩切 裕哉,大高 洸輝,永岩 健一郎(流通情報工学科)
閑田 悠子(大崎上島町役場)

概要 現在わが国では,空き家が抱える問題点として,老朽化による危険性や空き家の利活用がある。私たちが住んでいる大崎上島町でも同様である。空き家の除却については,平成26年6月26日に空き家管理特別措置法が制定され,今後も所有者による自主的撤去を促すのが基本となる。しかし,近い将来,所有者不明の空き家が急速に増えていくことが予想される。そのため,少子高齢化が著しく進んでいる大崎上島にとっても,空き家マップを作成し実態を把握することが危急の課題となっている。そこで,スマートフォン・タブレットを利用した空き家のWebマップを作成する方法について検討を行った。

キーワード 地域研究/生活環境/空き家マップ

1.はじめに

最近では空き家の増加に伴い,空き家に関するトラブルが多発している。新聞やテレビ,雑誌などのマスメディアでも連日のように報道がされており,空き家に対する注目も高まっている。ただ,全ての空き家が近隣住民に被害をもたらす「問題空き家」ではない。社会問題化する空き家とは,きちんとした管理がされていない「放置空き家」である。
誰も管理していない土地や住宅が引き起こす問題は主に4種類に分類される。①放火による火災,②老朽化による倒壊,③犯罪の温床にもなる不法侵入,そして④景観の悪化である。どれも近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性があるため,空き家は適正に管理することが重要である。
平成26年11月,「空き家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家対策特別措置法)」が成立した。平成27年5月に施行され,国土交通省や総務省から空き家の適正管理や活用に関する指針が示された。この法律では,所有者に空き家の適正管理を義務付けるもので,放置空き家の所有者に対して改善の命令や勧告を行う。それでも改善されない場合は50万円以下の罰金となる他,倒壊の危険がある場合は行政代執行も行う事ができる。
また,各自治体では空き家の適正管理に関する条例(通称:空き家条例)が次々に制定されている。日本で初めての空き家条例が,平成22年10月1日に埼玉県所沢市(所沢市空き家等の適正管理に関する条例)で制定されてから,全国で300を超える自治体が導入している。大崎上島町では,平成26年4月1に空き家条例は施行されている。また,空き家の物件情報は,空き家バンクとして登録され町のホームページ上に掲載されているが,契約等は当事者間または㈳広島県宅地建物取引業協会を通じで交渉することになっている。本研究は,行政らの要望から空き家マップをweb上に比較的簡単な作業で作成することを目的としている。

2.研究内容

空き家対策についての論文は響庭1による研究のレビューにまとめられているように,これまでに多くの研究事例がある。しかしながら,地図上に表示する部分について特化したものは見当たらない。空き家地図の作成方法としては,紙ベースによる調査により,紙ベースの住宅地図やブルーマップにプロットする方法,紙ベースの調査結果によりWebサーバーベースとしてGoogleマップを利用する方法やDesktop 型のGISを利用したものがある。最近では,携帯端末により現地調査時にデータを入力しOnlineで空き家マップを作成する方法がある。
本研究では,最後に紹介したOnline GISを用いて調査場所で,携帯端末を利用し,写真や調査データを入力することで空き家地図をWeb上に作成することとした。また,データはオフラインでも調査可能で,データの入力も可能となっている。

3.成果

3.1ベース地図

今回は,誰もが地図や情報を検索し,作成,共有,利用できるようにするためのクラウドベースのプラットフォームである地理情報システム(Arc GIS Online)を用いた。それは,①信頼性の高いベースマップにアクセス可能,②携帯端末から入力用のアプリを起動しすぐにアクセスできる,③複数の携帯端末から共同で地図作成の作業をすることが可能なためである。

3.2携帯端末

携帯端末としては,アンドロイドとiOSが作動するスマートフォンまたはタブレットに,クラウド型のオンライン地理情報ソフトにアクセスできるアプリケーションをインストールして,データを送信することが可能となる。携帯端末からは,GPSやカメラとの連携により,撮影画像を添付し送信することができ,またGPS機能を利用した位置情報を含んだデータ収集ができる。さらに,距離の計測やルート検索も可能となっている。マップの作製概要を図1に示すように,モバイル通信やWi-Fiの電波が届かない場所(オフライン)でも調査可能なため携帯端末で,写真やデータ入力を行った後にデータの転送を行うことができる。
しかしながら,携帯端末に表示させる表1に示す調査項目の設定には,オンラインのGISソフトでは設定できないためDeskTop型のGISソフトが必要である。

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図1 空家マップ作成概要図
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3.2空き家情報マップ

作成した空き家情報マップを図2に示す。地図上のマークされた地点をクリックすると,現地調査の日付,空き家の危険度,写真が表示される。また,ベース地図は航空写真を表示することもでき,空き家周辺の地理的状況を把握することも比較的簡単に可能となっている。

4.成果

Online GISを用いた空き家情報マップの作成については一定の成果を得られた。しかし,以下の項目については課題が残っている。
①携帯端末のGPS情報の精度が高くない点。
②オフライン環境でのデータのアップロードが出来ないことがある点。
③写真を広角に撮影する必要がある点。
今後は,これらの課題を検討し改良していく必要がある。

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図2 作成した空き家情報マップのイメージ

参考文献
1)響庭伸:空き家研究の現在,建築雑誌 JABS,Vol.130 No.1672,pp.8-11(2015)

(公開:平成28年4月)

 

 

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