国立広島商船高等専門学校
文部科学省 地(知)の拠点

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社会科学と地域教育

社会科学と地域教育

小河 浩・澤田大吾(一般教科),田上敦士・岡山正人(流通情報工学科)

概要 本校は,平成25年度文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」の選定校となった。この取組では,離島社会の資源や課題を本校の教育・研究・社会貢献の活動に取り込み,この活動を通して学生が故郷や地域の状況を認識・理解するとともに,離島・ひいては将来の日本社会が直面する様々な課題を解決できる人材を育成することを目指している。
本校の教育分野はその目標として(A)~(E)があり,社会科学系科目は,教育目標(B)「地域・国際社会に対応できる視野・素養の育成」を担っている。本校の特徴として,卒業生の多くが交通・情報・サービスなど社会システムの企画・維持・管理する専門的実務者として活躍していることから,社会現象を取り扱う社会科学系科目は重要な本校教育の柱の一つでもある。本報告では,教育目標(B)およびCOC事業の視点から,社会学系科目の意義とその授業内容について紹介している。

キーワード 地域教育/離島社会/社会科学/卒業生の就職先

1.はじめに

我が国では,少子高齢化と人口減少,生産年齢人口の減少と経済規模の縮小,地方の過疎化と都市の過密化,社会・経済・産業のグローバル化,産業・就業構造の変化,財政状況の悪化など,様々な課題に直面している。今日の離島社会は将来の日本社会ともいわれ,上記の課題が離島社会には本土社会に先行して著しく顕在化している。
本校は,平成25年度文部科学省「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」の選定校となり,選定課題「離島の知の拠点形成-離島高専の教育研究と離島の振興・活性化-」(事業期間:平成25~29年度)に取り組むこととなった。本COC事業は,離島社会の資源や課題を本校の教育・研究・社会貢献の活動に取り込み,この活動を通して学生が故郷や地域の状況を認識・理解するとともに,将来,離島地域や社会の様々な課題を解決できる人材を育成することにある。
ところで,本校では,教育目標(A)~(E)に沿って教育課程を編成している。報告者が担当して社会科学系科目は,教育目標(B)「世界や地域で活躍できる広い視野と素養の形成」を担っている。社会科学は,社会現象を対象として実証的方法によって研究する科学の総称で,政治学,法律学,経済学,社会学,歴史学,文化人類学およびその他の関連諸科学を含んでいる。
本校の教育目標および本COC事業の目的に沿って,本校学生が,それぞれの学科の基礎・応用科目を学修することに加え,離島社会の現象・状況を社会科学的視点から学修することは,離島社会の課題解決のみならず,卒業(修了)後,将来の日本社会の課題解決に貢献することが期待できる。

2.本校の教育分野と卒業生の就職先

2.1 成熟社会の人材ニーズ

経済・産業のグローバル化により,産業界はその業種や規模の大小を問わず世界で活躍できる国際標準のクローバル能力を有する人材を強く求めている。一方で,成熟化・高齢化が進行する我が国では,高度に進展した社会システム(都市ビル,都市・地域計画,防災,セキュリティ,情報通信,交通(自動車・鉄道・航空・船舶),流通,金融,環境・エネルギー,医療・福祉,観光,地方行政など)を維持・管理・推進する理工学的知識・スキルを有する専門的実務者の役割は,地方・都市を問わずニーズが増大している。

2.2 教育の特徴と離島社会

本校は,本科3学科(商船学科,電子制御工学科,流通情報工学科)および専攻科(海事システム工学専攻,産業システム工学専攻)から構成され,船舶,メカトロニクス,交通,流通,情報などに関わる人材を育成している。本校の教育分野は海域や離島の諸課題に関わる分野に深く関係し,学生は,多くの授業科目において海域や離島に関わる学修を行っている。本島を含む離島社会の課題を積極的に卒業(修了)研究や教員研究に取り組み,技術開発や施策提言を行い,離島社会の再生・活性化に貢献している。

2.3 学生就職先と社会科学

本校卒業(修了)生の就職先は,運輸業31.9%,製造業22.1%,技術サービス業16.1%,情報通信業17.9%となっている(図1)。運輸業の占める割合が高いが,これは商船学科卒業生が船舶およびその関連企業へ就職することに加えて,電子制御工学科・流通情報工学科卒業生が交通分野(自動車・鉄道・航空など)などの業種へ就職するからである。また,情報通信,技術サービス業や公務・サービス業では,2.1で述べた社会システムを企画・維持・管理する専門的実務者として就職している。
以上述べたように,本校卒業生の多くは,社会システムを企画・維持・管理する実務者として活躍している。それぞれの専門分野の知識・技術を確かなものとし,それを現実社会へ活用・応用する能力の育成する上で,離島や地域の現状を社会科学的に学修することは極めて意義あることであり,また,その成果を離島や地域社会の再生・活性化に貢献できることが期待できる。


図1 卒業生の職種別就職先

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