国立広島商船高等専門学校
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環境美化

学生と地域住民との協働による環境美化活動

河村 義顕(商船学科)

概要 本校では学生による環境美化活動を同好会である「海友会」を中心に13年前より取り組んできた。活動当初は学校通学路周辺の清掃を海友会メンバーのみで行っていた活動であったが,今日では島内の海水浴場の清掃活動を他団体と共同で行うなど,活動の場が地域社会へと広がった。これにより,参加学生達は,身内だけで凝り固まっていた近寄りがたい雰囲気が薄れ,地域住民とのふれあいを楽しむようになってきた。
環境保全意識の啓蒙活動として,あるいは学生の地域貢献として始まった活動であるが,参加した学生らの環境意識の向上はもちろんのこと,人と人とのふれあい,地域社会とのつながりを実感することは人間形成の場としては最良の場であるといえる。
地域への奉仕活動を通した学生の人間形成という本活動の根底にあるものは不変のものであり,今後も活動の場を広げ,継続的に取り組む。

キーワード 社会貢献/環境美化活動/学生ボランティア/住民との交流

1.はじめに

学生による環境美化活動は,本校の同好会である「海友会」の前身である「海事思想普及研究会」による学校桟橋付近の清掃活動から始まった。当時では,学生自身が清掃する機会といえば「ホームルーム」で実施する教室の清掃程度であり,公共の場については特に分担して行うこともなかった。
平成11年に「海友会」に名称を変更し,人材を学年や学科,クラブを問わず広く募集し,メインとなる清掃活動を定期(約2~3ヶ月に1回)で実施する現在のスタイルを確立した。当初は学校通学路周辺で行っていたが,後に学生の提案によりフェリー乗り場や島内の海水浴場の清掃を行うようになった。
また,設立目的を学生の環境保全への意識を高めることと小集団活動によるリーダーシップの涵養に定め,学生の資質の向上を目指している。学生の環境意識の向上を目的としていた活動は,平成14年3月に本校が全国高専初となるISO14001の認証を取得したことが動機につながり,現在も学生の環境意識の啓蒙と地域社会への貢献活動として取り組んでいる。
現在,同好会の部員登録している学生は約25名であるが,登録していない学生も自発的に活動に参加するケースもあり,実質的には約30名の学生が参加している。また,女子学生の割合もここ近年増加の傾向にあり,現在では本校女子学生の1/4程度が活動している。

2.活動内容

2.1 環境美化活動の取組状況

海友会で実施してきた清掃活動は,2001年(平成13年)から2014年(平成26年)1月現在まで数えると海友会単独で行った清掃活動が10回,他団体と共同で行った清掃活動が40回,計50回に及ぶ。参加した学生は延べ619名,収集したごみは計4,475kgとなった。
清掃活動を行っている場所は,島内にある野賀海水浴場(写真1)が年に3~4回,大串海浜公園(写真2)が年1回,ほぼ定期的に行っている。また,不定期に通学路周辺を実施することもある。

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写真1 野賀海水浴場(大崎上島)

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写真2 大串海浜公園(大崎上島)

2.2 清掃活動と収集ごみの計測調査

海友会では単に清掃活動を行うのではなく,拾ったごみを分別し,どの種類のごみが多く捨てられているか,また場所ごとではその傾向がどのように変化するかを調査している。そのため,写真3に示すカラーネットを使用して種類ごとに回収を行い,分別収集したごみの計測を行っている(写真4)。学生らが普段の生活で接しない漂着ごみを分別することと,島外出身の学生が分別方法を把握していないため,時間を要する作業となっている。

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写真3 事業系ごみ(カキ筏パイプ)の分別

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写真4 ごみの分別・計量作業

2.3 他団体との連携

海友会発足から5年後,海友会の清掃活動が大崎上島町の広報誌に取り上げられ,それをきっかけに本校の卒業生の会である「校友会大崎支部」やNPO「かみじまの風」と共同清掃活動を実施する運びとなった。他団体と共同で実施することにより,学生らが自分たちの活動を認められたという自信につながり,非常にモチベーションが上がった。それ以降は地域社会の団体との共同活動が基本となり,現在に至っている。

3.活動の教育効果

3.1 清掃活動の社会的成果

図1はこれまで実施した清掃活動で拾ったごみを重量ベースの割合を示したグラフである。このグラフから海水浴場では漁網ブイや大型の梱包用で使われる発泡スチロール,カキ筏のパイプ等の事業系廃棄物のごみが多いことがわかる。また,ペットボトルやプラスチック製の容器類なども数多く見られた。
これらは単体ではそれほどの重量はないが,容積ベースではかなりの割合を占めているため,非常に目立つごみであった。また,海水浴場の砂浜や消波ブロックの間に漂着するため,回収が困難であった。

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図1 収集ごみの内訳(重量ベース)

3.2 教育効果と学生意識の変化

放置された粗大ごみや空き缶,たばこなどのポイ捨てを目の当たりにするようになってから,学生のごみに対する意識が変わってきた。参加したことがある学生は教室や寮でもごみのポイ捨てに対する抵抗感を持つようになり,分別についても意識するようになった。
また,公共の場の清掃を行うことで学生達がやりがいを感じ,自分たちの活動に自信を持った。これまでも木江警察署と大崎海星高校の生徒と合同で行った大西港のフェリー乗り場付近の清掃活動(写真5)や,大崎上島町子供会連合会の子供達との清掃活動(写真6)など,同年代あるいは下の年代との関わりは良い刺激を受けるので,チャンスがあればいろいろな団体と共同で活動をしていきたいと思う。

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写真5 木江警察署・大崎海星高校との協働清掃
(写真:大崎上島・大西港の駐輪場)

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写真6 大崎上島町子供連合会との協働清掃活動

4.まとめ

4.1 地域美化ボランティア

大崎上島町の名所である王子の滝付近が不法投棄されたごみで景観が損なわれているため,平成25年11月に清掃ボランティアの要請があった。今回はCOC事業の地域活動として実施するため,学校全体に呼びかけ,学生ボランティアを募集した。その結果,27名の学生と4名の教職員が参加し,地域ボランティアの方31名と清掃活動に望んだ。
山間の場所での清掃活動であったため,足場は悪く,人力に頼るところが多かったため,本校の学生の持つバイタリティーが十二分に発揮された活動であった。
これまでは清掃活動は海友会が率先して実施してきたが,学生全体に呼びかけて実施するのが理想の形である。今回の王子の滝清掃活動(写真7,8)では多くの参加者が得られたので,今後もこの方式で学生参加者を募り,海友会という枠にとらわれず,学生達の自発的で活発な取組に期待したい。

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写真7 地域住民との協働清掃活動
(大崎上島・王子の滝)

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写真8 地域住民との協働清掃活動
(大崎上島・王子の滝)

また,これまでも清掃活動への取組を大崎上島町子供会リーダー研修(写真9)、大崎上島町文化セミナー(写真10)や大崎上島町産業祭などにおいて発表してきたが,今後も学生達が自分たちの活動を情報発信していく機会を見つけ,積極的に推進していきたい。
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写真9 子供会リーダー研修会での取組発表

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写真10 大崎上島町文化セミナーでの取組発表

4.2 今後の取組

設立当初は学生達の社会性を身につけることを目的にしてきたが,最近では「地域社会への貢献」を通じて地域社会への関心を高め,学生と地域住民との交流・コミュニケーションの場を広げることを主眼においている。地域社会と青少年の接点が希薄になりつつある現在,本校の学生らが地域住民と挨拶し,声を掛け合い,汗を流すことは,とても貴重な経験である。また,彼らが後輩達に地域「里海」を守るという精神を伝えられるよう,努力していきたいと思う。


(原稿受理:2014年2月 公開日:2014年3月29日)

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