国立広島商船高等専門学校
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熟年パソコン講座2015

学生による熟年パソコン入門講座

内山 憲子(商船学科)
穆 盛林(電子制御工学科)
岩切 裕哉(流通情報工学科)

概要 本校の情報教育担当教員が連携し,地域の高齢者を対象とした「学生による熟年パソコン入門講座」を開催した。
ICT技術は,離島に生活する地域の高齢者にとっても豊かな生活を提供できるものであり,生活に役立つICT技術を習得し,生活の質の向上の支援を図ることが第一の目的である。
本講座では,教員が開設講座について指導と支援という補助的な役割を担い,学生主体で教材を作成し講師を務める。本講座の第二の目的は,受講する高齢者へのパソコンスキルや理解度に合わせた教材開発を通じて教えることの楽しさを知ることや講座の講師役を通じて学生が学習意欲の向上に繋がることを目的としている。さらに,学生主体の講座を通じて地域へのサービス事業の一面も有する。

キーワード 地域貢献/地域住民との交流/学生の学習意欲向上

1.はじめに

本校は,およそ10年前から,地域の高齢者を対象としたパソコン教室を開催している。これは,地域の要望により創設されており,高齢者にとってもパソコンを有効利用した社会になるとの予想があったものと考える。地域のイベントや催し物などで地域の方と関わる機会が多くあるが,高齢者と学生が関わる場面は,それほど多くない。そこで,「学生による熟年パソコン入門講座」が地域の方と学生や教員が交流できる機会として,開設している講座である。
平成24年までは,ICT技術を学修した流通情報工学科の学生が数名と支援教員が中心となって講座を行った。平成25年度からは,企画内容を改めて,講座の実施を学生中心として講座を再編成し,学校全体として取り組みを始めた。
住民には,本校へ来校して講座を受講してもらっているが,学校へ足を運んでもらうことで,学校が身近な存在であることを意識していただいている。また,学生と触れ合いながらICT技術の習得をすることで学生との距離をより身近に感じてくださっているようである。
本講座は,地域高齢者の生活の質の向上と学生の資質向上の両者が実現できる講座であると言える。そして,結果として大崎上島町の高齢者の生活の豊かさ向上の一助になればと考えている。

2.講座内容

本講座は,住民が興味のある内容で,かつ楽しんで取り組める内容を提供する工夫を行っている。インターネットを活用できる工夫,および付属のアプリケーションであるWordやExcelを活用できる工夫を中心にして講座内容を設定した。
本年度は,「インターネットで情報収集とフェイスブックの利用」,「Officeを使いこなす工夫(Wordで表と関連するグラフの作成・SmartArtを用いたWordでの図の作成)」,「Excelで家計簿の作成」の3講座を開催し,6月から2月までの期間で1講座3回ずつの計9回を開催した。
講座企画・運営については,学生が主体となって教材作成と講師を務め,教員は教材作成指導と講座の監督を担当している。開講時間は,17時から18時までの1時間とし,開催の周知は大崎上島町広報誌で行っている。
受講生(地域の高齢者)は15名程度であり,毎年熱心に参加してくれている人が多い。受講生の中には,「来年度の日程が決まり次第教えてほしい。スケジュールを空けておきたい。」と問い合わせる受講生もいるほどである。ICTスキルの違いはあるものの,新しい技術に対して積極的に質問するなど,学生との触れあいを楽しみながら受講し,図1に示すように自宅で復習をするために熱心にノートを取るなど学ぶ意欲を持った受講生が集まっている。

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図1 高齢者パソコン講座受講風景1(講座開始時の説明状況)
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図1 高齢者パソコン講座受講風景2(受講生質問に学生が丁寧に説明)

3.成果

受講生の講座受講に対する印象としては,概ね満足しておられると考える。また,学生のパソコンのスキルアップや人間力成長にも役立てられている。
学生は,事前に,教材を用意して,教員の指導により教材を修正し,講座日前日までにリハーサルを行った後,当日の講座運営を行っている。学生は毎回の到達目標を設定し,授業を組み立てて教材を作成する。教材作成等を通じて講座を教授することの方策を思考し経験することは学生にとって成長する良い機会となっている。
授業後には,熱心に応用的な質問をする受講者もいる。受講生の質問を丁寧に聞き,質問に答える学生の一生懸命さに「説明がわかりやすくて良かった。また来年も同じ学生に教えてもらいたい。」とお褒めの言葉も頂くことも多い。このような一連のやり取りは,学生の自信にもつながっているようである。
また,昨年度の受講終了時にアンケートを行い,次年度の講座の改善等に活かしているが,現在開講中であるため,まだ十分な解析が行われていない。
前年度のアンケート結果として,時間延長と応用講座の要望が出され,以下のとおり検討した。
第一の要望は,初心者の受講者にあわせるため,説明に十分な時間をかけて進めていることで,1時間では進み具合も遅くなり,時間が短いと感じる受講生が複数名いた。この件は,今年度は例年どおりに行い,来年度も時間に対する希望者が多いようならば,改善する予定である。
第二の要望は,スキルが高い受講生から応用編の講座希望があった。この件も,今年度は例年どおりに行い,来年度も受講生の要望が多いようならば検討する必要があると考えている。これらの点は,今後の改善課題である。

4.まとめ

離島の高齢者住民は交通不便な環境の中,ICT技術による情報ネットワークによるネットショッピングなどによる利便性の恩恵に浴する場面は多い。しかしながら,ICT技術の不十分さにより,ネットショッピングなどの情報ネットワークの利用に関しては,パスワードの盗難など不正利用などの不安が先に立ち,利用が進んでいないのが現状である。
そのため,ICT技術の習得により,高齢者住民の生活における質の向上とICT技術の向上を目指し,初級講座として,パソコンリテラシー講座を行った。
ICT技術を習得して,情報収集・文書作成・経費計算などの基礎的なパソコン利用を通じて住民の生活の向上を期待する。そして,その延長線上にインターネット技術を利用した,情報収集・情報編集・情報発信をしていくことを目指している。
本講座では,学生と住民とのコミュニケーションの取り方も重要である。敬語の使い方,配慮のある声のかけ方や心遣いのある触れ合い方など,講師やアシスタントを務める学生は,上手にコミュニケーションを取れた時の喜びについても体感することができる。そのような過程を通して,将来社会で活躍する時に必要な人間力の向上に繋がることを目指して学生が講師役を務めている。

(公開:平成28年5月)

 

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