国立広島商船高等専門学校
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出前授業教材の開発・実践

出前授業教材の開発とその実践

今井 慎一(電子制御工学科)
馬場 弘明(地域連携コーディネーター)
藤原 滋泰(流通情報工学科)

概要 本校は,大崎上島町はもとより,広島県内外の教育機関との出前授業を通じて地域との交流に努めている。本年度は,COC事業採択を機に大崎上島町の小中学校で出前授業を実施したので報告する。

キーワード 出前授業/地域交流/協同教育

1.事業の概要(以下,○は本年度実施した,いくつかの事例を示す。)

○オリジナルモデルを使ったエネルギー環境問題に関する出前授業への取り組み(図1)

次世代を担う子供達がエネルギーについて関心を持ちその課題に対して適切な判断と行動をとることができる基礎的知識を身に着けられるようになることを目的として,大崎上島町にあるメガソーラやIGCC、平戸市大島村にある風力発電や棚田等,子供たちが知っているエネルギー関連施設などを事例として取り上げながら,本校技術支援センターや電子制御工学科教員が作成した模型による実験や学生が描いたイラスト等の画像を教材として使い「創エネ・蓄エネ・省エネ」というタイトルで体験型出前授業を平成26年12月2日及び9日(大崎上島中学校),12月22日(平戸市立大島中学校)の日程で実施し,アンケート結果を評価し次世代に向けたエネルギー環境教育について考察を行った。

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図1 エネルギー環境問題に関する出前授業

○卒業制作を通じた初等教育機関との協同教育の実践(図2)

近年,社会の変化は科学技術の進歩に伴い,人々の生活観を大きく変えている。児童の周りには,パソコンやゲーム機器,携帯電話等,電気を利用した機器があふれている。また,充電という言葉も生活の中で使用している。しかしそれらは,コンセントに挿したりスイッチを入れたりすれば動作するのが当たり前の道具であり,電気エネルギーを変換して使用しているという意識は少なく,機械や道具の仕組みや原理について疑問を持たないまま利用していることが多いと考えられる。また,関心をもった児童がいても,実際に体験的な学び方をする機会は少ないと考えられる。
そこで,小学校学習指導要領解説理科編第6学年内容A物質・エネルギー(4)電気の利用に基づき,電気エネルギーが別のエネルギーに変換され利用されていることを初等教育機関と連携し,卒業制作を通して理科ものづくり教育を実施したので報告する。

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図2 卒業制作教育の様子

2.成果と課題

○オリジナルモデルを使ったエネルギー環境問題に関する出前授業への取り組み

①「実験」を多く取り入れることによって,授業への関心を持たせるという点においてはある程度の評価を得ることができたと思うが,授業の目的の一つである「科学技術」に興味を持たせるという点においては課題が残る。
②「学んだこと」に関する記述の80%が授業の目標のひとつである「スマートコミュニティに関心を持つ」であった、これによりこの授業に対してある程度の評価を得ることができたと思われる。
③今後は今回の「実験」を取り入れたことによる学習効果を参考にして「難しいけど面白い」という評価を得ることができる授業の構築が大きな課題である。

○卒業制作を通じた初等教育機関との協同教育の実践

平成26年6月から打合せを行い,平成27年年1月から2月にかけて,発電と電気の利用について授業を実施し,小学校6年生26名を対象に2月9日に理科ものづくり教育を行った。
当日は,本校から教職員2名,学生7名,小学校から教諭3名の体制で行った。まず,はじめに広島商船高専の教員がエネルギーの変換と保存についての授業を実施し,その後,観覧車の製作を行った。観覧車の製作に当たっては,児童を5グループに分け,各グループに1名の学生を配置し,学生らが児童に対して作業の説明を行うようにした。なお,観覧車の切削は本校で行い,色塗りについては,小学生らが図工および放課後の時間を利用して理科ものづくり教育までに作製してもらった。また,観覧車は完成後,誰でも自由に触れることのできる場所へ展示するので,耐久性を考慮し,部品の接合には緩みにくいねじを使用し,また,駆動用のモータは産業用のモータを使用した。
観覧車製作中に,部品についての質問や高専に関する質問をされ,非常に楽しい時間を過ごすことができたと学生は感激していた。観覧車完成後,「発電と電気の利用」で学習したことが観覧車のどこの部分に生かされているか児童に考えてもらい発表してもらった。また,観覧車を製作して疑問に思ったことや,分からなかったことについての質疑応答も行い,児童の積極的な姿勢が確認できた。
授業の終了後,面白さや理解度,自己学習,ものづくりに対する意欲についてのアンケートを実施した(図3)。授業内容の面白さについての項目は100%の児童が「とても面白かった」または「面白かった」と回答している。このことより,児童全員が肯定的に授業に取り組んでいたことがわかった。次に,授業の難易度についての項目も,100%の児童が「とてもわかりやすかった」,「わかりやすかった」と回答している。この結果より,授業内容は児童にとって簡単すぎた内容であったと考えられる。今後の難易度について小学校側とさらなる連携を行い再検討する必要がある。
また,自己学習についての質問に対しては,67%の児童が「とても調べたい」または「調べたい」と回答した。このことは,発電と電気の利用に興味・関心を持ち,児童の問題意識のきっかけに繋がると考えられる。最後にものづくりに対する意欲については,92%の児童がまた参加したいと回答した。児童の数名は,自由記述回答にジェットコースターやロボットや船等も作ってみたいという意見が多くあった。

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図3 ものづくり教育に係るアンケート結果

今回の授業を通して,児童は授業に対して積極的に取り組み,ものづくりに対して前向きな姿勢が見られた。

4.まとめ

○オリジナルモデルを使ったエネルギー環境問題に関する出前授業への取り組み

今後のエネルギー環境教育の取り組みについて大切なこととして,以下のことが考えられる。
1.エネルギー・資源を大切にする心を育てるようにすること
2.国際競争力に優れたエネルギー技術へ興味を持てるようにすること
3.国際的感性を持てるようにすること

○卒業制作を通じた初等教育機関との協同教育の実践

初頭教育機関と協同して学習指導要領に基づいた卒業制作を通して理科ものづくり教育を試みた。理科ものづくり教育のなかで手回し発電機やコンデンサに蓄えた電気で観覧車やオルゴールを動かすことで児童たちは,手回し発電機で発電でき,ハンドルの回し方によって電流の向きや強さが変わることを体験的に身に付けることができたと考えられる。さらに,児童と学生,教員が一体となってものづくりを行い,興味・関心をもって追及し,電気の性質や働きについて,電気をつくったり蓄えたり変換したりできるという見方や考え方をもつことができたとアンケート結果から伺えた。また,完成した観覧車は,小学校の玄関前に常設展示され,児童が自由に発電機を回して観覧車を回すことができるようになっている。
今後は,計測・制御の要素についても電気の利用の中に取り込んで協同教育を行っていきたいと考えている。

(公開:平成28年5月)

 

 

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